北本さんちで三線に酔う
6月の最初の日曜日、北本さんから去年の秋に植えたにんにくの収穫が終わったと連絡を受け、早速畑に行ってきました。去年の秋に植えたものが、収穫されたので、私にとってはまさに、にんにくとの再会です。
北本さんのお宅には、いつも、あちこちからやって来る、楽しい方々が集っています。私達が訪れた時も、たくさんのゲストと共に、竹やぶを開墾したばかりの畑で、バーベキューの最中でした。メニューはおなじみのバーベキューの材料の他に、皮ごと焼いた“にんにくの丸焼”もちろん絶品です。十分に火を通してあり、臭みはほとんどありません。肉料理の付け合せにぴったりです。その他、竹やぶから掘りたての筍を、皮ごと炭火でじっくり焼いたものまであります。なんせ場所が竹やぶの中なので、まさに堀りたてで、穂先がとてもやわらかく、かすかな甘みが広がります。
ビールやワインを飲みながら、おしゃべりしながら、初夏の午後を田園で過ごすだけでも、贅沢の極みなのですが、輪の中の一人が、沖縄の三線(サンシン)を爪弾き、歌い始めました。バーベキューのグリルでは桜のチップで燻製が作られています。じっくりと燻されていく煙の香りの中、沖縄独特の、やさしい旋律が田園に響きます。誰が言うこともなしに、踊りはじめました。沖縄の音楽は、どうしてこんなに耳に心地よいのでしょうか?スローライフ、スローフードという言葉が見直されています。音楽を聴きながら、これがスローライフだと思いました。
「消費者は商品を買う時に、感動を求めている。その商品に、ストーリーを求めている。」このたぐいのことばを、最近しばしば耳にします。都市に暮らす私たちが北本さんに会いたくなるのは、技巧的に演出されたものではない、こんなふうに素直に心に染み入る、感動が得られるからでしょう。
北本さんの畑から学ぶことは、まだまだあるようです。
<<文章:大磯 ゆかり>>
▲ページTOPへ
レポート一覧へ戻る
|